いつも五月蝿いぐらい賑やかな由太郎がその朝は何故かいなくて
妙に静かで、一応妙だとは思ってた
でもせいぜい風邪とかそんなんだと思って
気にして、なかったんだよ。
『Thanks to you.』
まぁアイツだって人間だし、たまには休むこともあるか・なんて思いながら朝錬の準備をしていたら、もう引退してここには来ないはずの小饂飩先輩が物凄い勢いでドア開けてやってきた。
それで僕は「うるさいですよ何の用ですか」って(本当はいつもみたいにもっと途切れ途切れに)言ったけど、小饂飩先輩はそんなの聞いてなくて、ばっと顔を上げると肩で息しながら「大変なんだよ沖」って言った。なんのことだか分からなくて、こんなに息が上がるなんてどんだけ慌てて走ってきたんだろうとか思ってたんだけど、その次の言葉で僕は固まった。
「ユタが、病院に、担ぎ込まれたって」
は?
「カイちゃんから電話あったんだよ!あっちも慌ててるみたいであんまり詳しいことは分かんなかったけど…結構ヤバいらしーんだ」
何それ。何言ってんの先輩。由太郎が何?やばい、って、何?
「野球部全員押しかけるわけにもいかねーし、俺らじゃどうしようもないけど…とにかく今日は監督も来ねェ。それに、知らせるだけ知らせなきゃって思ってな。どうせすぐ伝わることだけどさ」
「…何、言って……病院?どこ」
「……教えない」
「どうして」
「行く気だろテメー。だめだ」
「なんで!」
「……っ、どうせ、面会謝絶だよ!」
「……」
そのあと小饂飩先輩は大丈夫だって信じてとりあえず待ってろとか魁さんから連絡あったら必ず教えるからとか色々言ってたけどあんまり覚えてない。
ねえ、何、どうなってるの。
混乱して呆然としてたらあっという間に一日も終わってしまって、もう放課後の部活の時間。
今日何したかとか覚えてない。
ねえ、部活だよ。つまんない授業も終わって、好きな野球いっぱい出来るよ。
ねえ、好きでしょ野球。由太郎。
なんでいないの?
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